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撮影者にとって一番重要なこと


 撮影者にとって一番重要なこと。私は、撮影者自身がどこに立っているかだと思っている。
 立っている場所というのは、実際に立っている場所と撮影出来る立場にあるかどうかという二つの意味でだ。宇宙から地球の写真を撮りたいと思えば、宇宙飛行士になるか、何億円もの資金を用意出来る人間にならなければいけない。いずれも簡単なことではないだろう。また、戦場を撮りたければ、人生において相当なものを捨てる覚悟がいるだろうし、リスクをどれだけ受け入れたかが、写真の仕上がりに如実に現れる。
 私の場合はどうだろう。私も多くの人と同じように趣味として撮影をはじめ、身の回りのものを手当たり次第に撮影することからスタートしたわけだが、次第に自分が本当に撮りたいものが趣味の範囲で撮影出来るようなものではないことに気がついた。自分が面白そうだと思える被写体の前でカメラを構えるには、アマチュアという立場では無理だったのだ。その後、サラリーマンとしてコマーシャルの仕事をはじめ、独立してドキュメンタリー的なものへと軸足を移したのも、自分の撮りたいものが明確になってきたことと、自分の意思で撮影対象を決める立場が必要だと判断したからだ。会社員として工場などの撮影を行うこともあったが、会社員という立場で撮影するあたりさわりのない写真では納得がいかなかったのだ。
 ある程度の実績と明確なコンセプトを打ち出している現在では、取りかかった当初よりもましになったが、あいかわらず被写体の前に立つまでに膨大な時間が掛かっている。まだ、自分が立ちたいところに立っていないのだ。
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