祝、JT-60SAプラズマ実験開始!

2008年頃から取材をしていた核融合の研究施設、那珂研究所において、新型の核融合実験装置JT-60SAを使ったプラズマ実験が始まったとのこと。僕は、報道で知ったんだけど、ようやくここまで辿り着いた。感無量だ。

ここで行われている研究は、将来的に核融合反応を使って電気を起こすための研究なので、興味津々でずっと取材をしていたと言う訳だ。せっかくの機会なので、以前の実験装置、JT-60の解体の様子から、ここにアップしちゃおうと思う。

上が、以前の装置JT-60だ。僕が撮影に行った2009年には、すでにこの装置を使った実験は、終わっていて、JT-60SAを建設する準備が行われていた。

2012年に撮影した、JT-60の真空容器を切断している様子。核融合反応を起こすためのプラズマは、このドーナツ形の真空容器の中で作られる。

JT-60SAの真空容器を製作している様子。真空容器の製作には、非常に高い精度が求められているとのことで、撮影が許されたのは、ごく短い時間のみだった。

写真上左:JT-60SAの台座に相当する部分が設置された。JT-60SAは、フランスで建設されている国際熱核融合実験炉(ITER)で行われる実験を補完する装置として建設されたので、部品もITER計画に参加している各国から運ばれてくる。この台座は、スペイン製だと聞いた覚えがあるよ。

写真上右:JT-60SA の真空容器は、Dの字断面になっていて、いくつかの部品に分けて運び込まれていた。写真では、クレーンから吊り下げられた部品を作業員さんたちが引っ張って位置を合わせている。最終的には、レーザー計測器を使って精密な位置決めが行われていた。組み立てる時の精度も、重要なのだそうだ。

並べられた部品の前で、作業に取り掛かる準備をしている作業員さん。

真空容器の部品がどんどん運び込まれてくる。作業をする上で必要なんだと思うけど、写真を撮る上では、ビニールのカバーは、あまり見栄えがよろしくないね。

真空容器の内部は、こんな感じ。中に入ることは許されなかったので、計測機器用の窓から撮影した。

真空容器が、かなり出来上がってきた時に、中心部の下に入れてもらった。

真空容器の周りには、コイルが取り付けられていった。このコイルで磁場を作り、プラズマを閉じ込めるのだ。コイルには、縦方向のコイルと水平方向のコイルの2種類があって、上の写真では縦方向のコイルが見えている。水平方向のコイルをつけるのは、もうちょっと先だ。

コイルを取り付けるために、真空容器の最後の部品は、まだ取り付けられていなかった。コイルもDの字のリング状の部品なので、ここから差し込んで、真空容器の円周上を移動させて所定の位置に取り付けられていた。

真空容器の最後の部品の取り付け風景。さっきの隙間を埋める部品だ。よく見ると真空容器とコイルがセットになってるね。

JT-60SAの完成。この写真を撮ったのが2021年なので、装置が完成してから、プラズマの実験が始まるまでに2年掛かっている。初めてやることって、時間が掛かるんだね。

雑感いろいろ

取材を振り返ってみると、那珂研究所で核融合の実験施設を撮影させてもらうようになった2009年頃は、「核」という文字が付いているだけで、「そんなところに行ったら危ないんじゃないの?」なんて、真剣に心配されてしまう状況だった。そして、イメージだけで物事を判断する危うさを感じたことから、取材を続けることにした。次世代エネルギーの研究が、誤解されたままで進まなかったら、嫌だからね。

なお、JT-60SAの特徴や核融合のメリット、デメリットに関しては、僕が運営している別サイト「Workers in Japan」に詳しく書いているので、そちらを参考にしてほしい。

核融合炉を作る人。次世代エネルギーの研究所で話を聞いてきた。

また、今回の報道によると、JT-60SAの建設費は650億円で、欧州と日本が出資したのだという。仮に全額が日本だったとしても650億円。お祭りを開催する費用よりも、はるかに安い。いいのかな?こんなお金の使い方で。

以上、写真家西澤丞の悪戦苦闘でした!