廃炉の写真を解説文とともに紹介します。
福島第一原子力発電所の廃炉の現場で撮影した写真を掲載しています。
多くの人が心配している福島第一原子力発電所の廃炉作業。その現場の様子をきちんとした写真で伝える必要があるとの考えから、東京電力ホールディングス株式会社と協力して2014年より記録撮影を行っています。東京電力の協力で撮影していますので、中立性について疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。私も悩みましたが、写真というのは誰が撮っても撮影者の主観でしかありません。マスメディアが取材したとしても、それは同じです。ですので、私は、自分が現場で見たこと感じたことを、そのままを伝えるように努力しています。また、撮影を始めた動機や意義、目的の詳細につきましては、このウェブサイト内の記事「なぜ、福島第一の廃炉作業を撮るのか?」に書いていますので、そちらも参考にしていただければ、ありがたく思います。
福島第一原子力発電所の廃炉作業の現場に、初めて入った日に撮影した写真です。場所は4号機の南側です。右側の建物の中には、事故後に設置された汚染水処理設備キュリオンが収められています。左側には、わずかに4号機のカバーが写っています。2014年7月23日撮影
増設多核種除去設備(アルプス)の設置作業。福島第一原子力発電所では毎日数千人が働いていますが、広い構内に分散してしまうため、大人数での作業を見る機会はそれほど多くありません。2014年9月30日撮影
1号機の北西、旧事務本館前で陸側遮水壁(凍土方式の遮水壁)の工事が行われていました。マスクや防護服を着ていると熱中症の危険性が高くなるので、夏場は日中の作業を避け、朝や夕方に作業が行われていました。作業服の下に保冷剤を付けていますが、マスクをしていることもあって、非常に暑く、連続2時間くらいの作業が限界です。2014年9月30日撮影
免震重要棟の階段に飾られていた折鶴。これ以外にも、いたるところに現場の人を応援する絵手紙やメッセージが掲示してあり、移動の途中などについつい見入ってしまいます。2014年11月7日撮影
写真の上の方に写っている赤色の機材は、コンクリートポンプ車の先端です。ここでは、タンクの土台を作る作業が行われていました。背景に写っているタンクは、事故後に急遽作ったボルト締めのフランジ型タンクではなく、溶接型のタンクです。2014年11月10日撮影
汚染水からセシウムを取り除くための、セシウム吸着装置(キュリオン)です。汚染水を浄化する工程の上流部に位置する施設であるため、施設内の放射線量は他の場所よりも高く、「1枚撮ったら出ます!」と言われたことを覚えています。2015年10月29日撮影
化学分析室では、構内各所から集まってくるサンプルに対して、「全ベータ放射能分析法」による分析が行われていました。撮影中は、現場の物に触らないように注意されていますが、ここではいつも以上に厳しく注意されました。2015年12月22日撮影
この頃からフィルター付きの全面マスクをつけなければいけない区域が減少し、簡易マスクで作業できる現場が増えてきました。服も、頭まで覆う防護服ではなく、首までの構内作業服になっています。なお、この写真は、WeTransfer社の支援によって、ニューヨークにあるアパチャーギャラリーで展示されました。2016年4月12日撮影
3号機のそばで作業員が、タングステン入りのベストを着ようとしていました。このベストは、重量が10kgほどもある装備で、放射線量の高い場所で被曝量を抑えるため使います。着た事がなくても、作業が大変になる事は容易に想像出来ます。撮影当時、この場所を歩く機会は、ほとんどありませんでしたから、このようなシャッターチャンスに巡り合ったのは奇跡のようです。2016年9月30日撮影
2号機の西側に取り付けた構台(作業用の足場)の上で、電気配線の作業が行われていました。この場所は、使用済燃料プールのあるオペレーティングフロアと同じ高さにあります。2017年4月13日撮影
2号機の構台から南西の方角を撮影しました。フェーシング作業が広範囲にわたって行われたことがわかる写真です。この作業のおかげで構内の放射線量がかなり下がりました。遠くには、仮置きされている放射性廃棄物のコンテナや様々な種類のタンクなどが見えています。 2017年4月13日撮影
1号機では、カバーを支えていた柱や梁の撤去作業が行われていました。中段の梁より下の部分は、改造後に再使用することになっています。中段の梁を今後の作業に邪魔にならない位置まで下げ、防風シートを取り付ける予定です。2017年4月13日撮影
ここに掲載している写真は、写真集「福島第一 廃炉の記録」に掲載している写真から抜粋しました。撮影自体は、写真集の刊行後も継続して行なっていて、東京電力のウェブサイト内「伝える。遺す。廃炉の記録」で公開されています。機会がありましたら、そちらもご覧ください。
※ このウェブサイトでは、写真を展示したギャラリーページも用意してありますが、そちらはLightbox形式で表示していますので、ポータルサイトの画像検索の対象になりにくいようです。そこで、写真が検索の対象になるように、このようなページを設定しています。ご了承ください。