エンドロールに写真を提供した映画「Fukushima 50」の地上波放送に際して

 映画「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」が、日本テレビ系の「金曜ロードSHOW!」で放送されることになりました。放送日は、3月12日(金)、全編ノーカットとのことです。私は、この映画のエンドロールに、写真を2点提供しています。2018年に福島県内で撮影した日常風景です。

 昨年の劇場公開時には、具体的にどの写真なのかお伝えすることはしませんでしたが、劇場公開から1年が経ち、本編とは直接関係のない部分で使われていることから、今回の放送を前にお伝えすることにしました。軽トラの写真は、広野町の農道で撮影しました。漁港の写真は、久之浜漁港です。2点とも、データ送信サービスを行っているWeTransfer社(オランダ)の援助によって撮影した写真です。なお、エンドロール中に私の名前もクレジットされていますが、文字が小さいため、高解像度のテレビでない限り、文字が読めない可能性大です。

 私は事故当時、現場にいたわけではありませんので、この映画の正確性についてはわかりません。ただ、多くの批判を受け止める覚悟を持ってこのテーマを選び、「事故の記憶を風化させないために映画として残したい。」との思いで制作した株式会社KADOKAWAさんを始め、監督や俳優さんたち、スタッフのみなさんには、敬意を表します。この国では、過去に起きたことを検証したり、記録を残すことへの意識が希薄であるように感じますが、福島第一の事故に限らず、同じような過ちを繰り返さないためには、歴史を振り返り、検証し、問題に至った経緯を忘れずにいる必要があると考えるからです。

 今、廃炉の現場に行くと、事故当時に子どもだった人たちが大勢働いているのを目にします。そして、そのたびに事故当時に現役だった者の一人として、負の遺産を残してしまったことに胸が痛みます。事故が起きてしまったことは取り返しがつきませんが、この教訓を未来のために生かすことは出来るはずです。この映画は、単に事故を思い出すだけではなく、今起きている問題、これから起きるであろう問題について、自分自身のこととして考えるきっかけにもなると思っています。

 今、自分は何をすればいいのか、これからどうするべきなのか。