ロケットの写真を解説文とともに紹介します。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)や株式会社IHIエアロスペースなどのご協力により撮影した固体燃料ロケット・イプシロンの写真を掲載しています。

JAXAで行われた分離試験の画像

ロケットの撮影では、取材の許可を取るために7年もかかったり、取材日数が50日にもなったりと、私が今まで撮影したテーマの中では、一番時間がかかりました。ここでは、写真集「イプシロン・ザ・ロケット」と同様、固体燃料ロケット・イプシロンの初号機について、工場での部品の製造、JAXAの施設などでの試験の様子、内之浦宇宙空間観測所での打ち上げまで様子を紹介しています。

町工場でのチタン製部品の加工の画像

住宅地の中にある町工場で、チタンの塊を削って部品が作られていました。ロケットの部品は、複雑な形状であることが多く、高い精度が要求されます。まして素材がチタンとなると、その加工は、とても難しいとのことです。 撮影地:株式会社青木精機製作所

ロケット部品の製造の画像

メジャーを使って部品のサイズを検査している様子。メジャーで測るなんて聞くと、精度がどうなのかと思ってしまいますが、検査の前には、金属製のメジャーの温度を計測して、誤差がないように精密な検査が行われていました。撮影地:三幸機械株式会社

固体燃料ロケットのノズルの画像

工場で製造中のイプシロンのノズル。イプシロンは、固体燃料を燃やすタイプのロケットですので、H2ロケットなどの液体燃料を使ったロケットのノズルに比べてシンプルな形をしていました。 撮影地:株式会社IHIエアロスペース

ロケットの液体燃料タンクの画像

イプシロンの第4段とも言えるオプションで装備される液体燃料を使用した推進装置のタンク部分です。下から見上げた状態で撮影したかったので、床に寝そべって撮影しました。撮影中、床に寝そべるようなことは時々あるのですが、私の撮影では、必ず立会いの人がいらっしゃいますので、何してんだろうなあって思われていると思います。撮影地:株式会社IHIエアロスペース

フェアリングの音響試験の画像

JAXAの音響試験室で試験中のフェアリング。音響試験とは、打ち上げ時の騒音がフェアリング内にどのような影響を及ぼすかを確認するための試験です。実験スペースが明るかったので、その部分と人物がシルエットが重なるタイミングを待って撮影しました。 撮影地:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

フェアリングの開頭試験の画像

フェアリングの開頭動作を確認するための試験。フェアリングの開頭は、接合面に配置した火薬を起爆させて行われます。この写真では、音を感じてシャッターを切る装置を自作し、その装置を取り付けたカメラを、試験の前に設置する形で撮影をしました。この自動でシャッターを切る装置は、打ち上げの時にも改良型を使っています。撮影地:川崎重工業株式会社

内之浦宇宙空間観測所の画像

内之浦宇宙空間観測所の整備塔と組立室です。右側の組立室で、ある程度まで組み立ててから整備塔に運び込まれ、最終的な組み立てや点検が行われます。ロケットは、ランチャーに載った状態で完成し、整備塔の扉を開けた後、ランチャーと一緒に旋回して外に出てくるようになっています。撮影地:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

ダミーロケットを使った試験の画像

実物と同じ大きさ、重さのダミーロケットを使ったリハーサルの様子です。イプシロンでは、ランチャーも新しくなりましたので、実際のロケットを載せる前に稼働試験が行われたのです。撮影地:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

ロケットの組立の画像

内之浦宇宙空間観測所にある組立室内で結合作業中の2段モータと3段モータ。このように画面に何人もの人がいる時は、撮影のタイミングがとても難しくなります。他の方向を見ていたり、緊張感のないポーズをしている人がいる事が多いからです。作業が佳境に入った時に、そのような人がいると写真が台無しですので、神に祈るような気持ちで撮影していました。 撮影地:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

ロケットの運搬の画像

組立室から整備塔へと運ばれる1段モータ。こういうシーンを見るとサンダーバードを思い出すのは、私だけではないはずです。撮影地:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

ロケットの組立の画像

整備塔内で1段モータを射座に取り付ける作業をしているところ。整備塔の中は、フロアが幾つにも分かれています。ロケットが固定されれば、写真では外側に向けられている扇型の床を元に戻して、ロケットにアクセスしやすようにします。  撮影地:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

フェアリング部分の運搬の画像

衛星を収めた先端部分がクリーンブースから出てきたところです。この後、整備塔へと運ばれて行きました。オレンジ色のダクトは、衛星を冷却するためのダクトです。撮影地:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

固体燃料ロケットイプシロンの画像

完成した固体燃料ロケットイプシロンの勇姿。打ち上げリハーサル時に撮影させてもらったのですが、スプリンクラーの散水試験も同時に行われていましたので、時折、水が飛んでくる中、傘を差しながら撮影しました。撮影時間も限られていましたので、とてもドキドキする撮影でした。また、曇っていましたので、白の背景に白の機体となってしまって、どうなることかと思いましたが、ていねいに現像したら、なんとか見られる形になりました。私の撮影では、時間も場所も限られている場合が多いので、与えられた条件の中で、なんとかするしかないのです。撮影地:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

ロケットの打ち上げの画像

JAXAの液体燃料ロケットは、種子島宇宙センターで打ち上げられますが、イプシロンのような固体燃料ロケットは、内之浦宇宙空間観測所で打ち上げが行われます。このイプシロンの打ち上げの撮影は、フェアリングの開頭試験と同様、音センサーを取り付けたカメラで撮影しました。ロケットの打ち上げ時には、半径2キロくらいの範囲が立入禁止となってしまう上に、電波を飛ばすことも禁止となってしまうからです。この写真が撮られた時、私は遠くから祈っていただけです。また、画面にキラキラしたものが写っていますが、これは、スプリンクラーで撒かれた水がレンズについて、それにロケットの噴射炎が写ってキラキラしているものです。事前に予想していたわけではありませんので、写真の神様が降りてくれたんだと思います。撮影地:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

※ このウェブサイトでは、写真を展示したギャラリーページも用意してありますが、そちらはLightbox形式で表示していますので、ポータルサイトの画像検索の対象になりにくいようです。そこで、写真が検索の対象になるように、このようなページを設定しています。ご了承ください。なお、ギャラリーよりもこちらの方が、写真点数が多く、解説文が長めになっています。