安い仕事。やる?やらない?フリーランスの選択。私は、安い仕事こそ全力でやってます。

 フリーランスとして色々な方と仕事をしていると、稀に、「安い仕事だから適当にやる。」とか「安い仕事は途中で投げ出してもOK。」という方にお会いすることがあります。でも、こういう考え方って、自分の考え方とは随分違いますので、安い仕事に対する私の考えを書いてみたいと思います。

安い仕事は受けない

 私は、基本的に、安い仕事は受けないようにしています。受けない理由は、三つです。

 まずは、スケジュール。スケジュールは、先に入った仕事を優先しますので、安い仕事を安易に入れてしまうと、後から高い仕事が来た場合に、断らなければいけなくなってしまいます。もし、先に決まっていた安い仕事を投げ出して、後から来た高い仕事を優先してしまえば、それは信用問題になってしまいますので、絶対にNGです。

 二つ目。安い仕事は、実績にならないことが多いからです。たくさん仕事をこなしても、見込み顧客へのアピールとして使えない、第三者に自信を持って見せられないとなれば、実績が蓄積できず、永遠に次のステップに進めません。これでは、単なる労働力(時間)の切り売りになってしまいます。

 三つ目は、後に続く人たちの足を引っ張りかねないからです。私は、フリーランスになってから20年以上ですから、その立場であまりにも安い金額で仕事をしてしまうと、写真撮影の相場を下げることになってしまうと考えているからです。特に、これから写真の仕事をしようと思っている若い世代の人たちの単価に影響してしまうのは避けたいと思っています。まあ、これについては、自分の影響力なんて無いに等しいので、自意識過剰なのかもしれませんけど。

 なお、撮影費に対する考えは、過去記事「写真家の撮影費。その根拠や算出方法について。」に書いていますので、参考にしてください。

安い仕事こそ、全力でやる

 一方で、私が安い仕事を受けるのは、どうしても撮りたい被写体だった時や実績として使えると判断した時、クライアントが困っている時などです。例えば、依頼主が、広報に関して新しい挑戦をしようと思っていても、周囲の理解が得られずに予算が潤沢ではない状況などが、これに該当します。私が、以前からやるべきだと提案している現場の写真を広報に使う流れは、ようやく動き出した感じがしますが、多くの企業や団体にとっては、まだまだこれからです。私のところに相談が来る段階では、依頼主にとって「前例がない撮影」や「前例がない広報活動」となっていることがあって、予算についても初めからしっかり確保されている訳ではありません。しかし、「前例がない」案件の場合は、実績としてアピールしやすいことが多く、世の中に写真が出回っていない被写体を扱うこともあります。このような時には、現場の写真を広報に使ってもらう流れを確実なものにすることと世の中に出回っていない被写体の撮影を優先させますので、撮影費用については、相対的に優先順位を下げざるを得ないことがあるのです。また、このような案件の時は、問い合わせをしてくださった方の同僚や上司を説得するための資料作りが必要になりますし、打ち合わせの回数も多くなりがちですから、普段の仕事以上の熱量が必要になります。よって、「安い仕事こそ、全力でやる。」って話になるのです。

 以上、写真家西澤丞の悪戦苦闘でした!