写真家の認知度向上計画。ウェブサイトで検索上位を目指す。

はじめに

 SNS全盛の中、SNSとの親和性が低い写真家が、コロナ後の生き残りについて考える話です。
 仕事を受注するためには、まず、私自身の存在を知っていただくことが必要なのですが、現状ではSNSの波に乗れていませんし、新型コロナウィルスが収まった後は、情報を伝える手段自体が変化する可能性があります。この事態に対応するには、どうすればいいのか。ここでは、現状を把握し、解決するための悪戦苦闘を書いてみました。個人の写真家が試行錯誤しながら書いていますので、おかしな部分があるかもしれません。あらかじめご了承ください。

状況の把握1。SNSの写真には、向き不向きがある。

 Instagramを中心としたSNSでの「いいね」が、写真の価値。みたいな流れが出来つつある昨今の状況ですが、私の写真は、投稿しても「いいね」がつきません。「いいね」をもらうための要素である「共感」に相当する成分が少ないからです。特に「共感」の中にある「何気ない日常の…」とか「私でも撮れそう」、「私も行ったら撮れるかな」など成分が極端に少ない。というか無い。お時間がありましたら当ギャラリーの写真をご覧ください。ご理解いただけると思います。よくおっしゃっていただく「あんたにしか撮れないから」というのは、褒め言葉でもあるのですが、こと「共感」に関しては、プラスには働きません。また、SNSでの認知度を上げる(フォロワーを増やす)には、投稿の頻度や回数も関係してくるのですが、私の場合、そんなにたくさん撮影できる内容でもありませんから、そちらの意味でも「いいね」には、不利なのです。SNS不適合写真家です。
 ただ、SNSの写真は、誰でも撮れるところで撮っている写真ですから、すぐに真似されて同じような写真が溢れて来ます。また、「いいね」をもらおうと、人目を引くための過度な画像処理をしているものも多く見かけますが、写真をいじれば、いじるほど、イラストのようになってしまって、記録としての価値が無くなってしまいます。それに、多くの写真は、今時な処理をしていますから、何年か後に見ると「ああ、昔こういう写真が流行ってたよね。」となってしまうことが考えられます。
 写真の力とは、「伝える力」と「記録を残す力」です。また、歴史に埋もれないためには、オリジナリティーが必要です。多くの人に「いいね」をもらうことは、素晴らしいことだと思いますが、「いいね」が、そのまま写真の価値ではないと考えていますので、SNSの波に乗れないのも仕方がないことだと考えています。

状況の把握2。コロナ禍で加速すると思われる出版不況。

 SNSの存在感が増してきた状況で、この新型コロナウィルスです。今までは、写真集を出すことで、自分自身の認知度を上げて来ました。しかし、この活動も先行きが不安です。というのも、以前から出版不況だと言われていて、写真集を出すのが難しくなっていましたが、今後は、さらに難しくなることが予想されるからです。この騒動をきっかけに、人々の情報の入手先が、ますますネット経由になるでしょうから、情報としての印刷物の存在意義が薄れます。その上、出版社が売上を優先させて、エロ、食、損得などのテーマばかりになってしまった場合、文化的な存在意義も低下しますので、さらに危機的状況になってしまうこともあり得ます。本がなくなることはないと思いますが、全体量は確実に減るでしょう。コロナ後は、オリジナルなコンテンツを持っているものか、物体として存在することに価値があるもの以外は、厳しい時代になると思います。

SNS不適合写真家が生き残るための解決策は、ウェブサイト?

 これらを考えると、私に残された道は、ネット経由で情報を発信できるウェブサイトくらいです。ただ、ここにも大きな問題があって、写真を含めた画像全般は、検索してもらうには不利なのです。グーグルなどが使っている情報収集ツールは、画像の情報を読み取ることができないからです。ネットで検索すると画像のアラート属性をきちんと書けば、検索されるみたいなことが書いてありますが、実際にやってみても、あんまり効果がありません。なんてこった!

で、どうする?検索上位表示の具体的な方法は?

 結局、今、できることは、ひたすら文章を書くことだけです。写真家なんですけどね(笑)自宅いなければいけない今は、落ち着いて文章を書くには、最適です。この時間を有効に使わなければいけません。で、実際にやってみました。結果として、写真家のコンセプトについて書いた記事は、この文章を書いている時点で、「写真家」+「コンセプト」でグーグル検索のトップに表示されるようになりました。

 それ以外にも「写真家」+「企画書」もトップに表示されます。これは、どういうわけか「写真集」+「企画書」でも、同じ結果になります。

それ以外では、「写真家」+「ブランディング」、「写真家」+「BtoB企業」などでも1ページ目に出て来ます。

 上位検索されるためにとった具体的な方策としては、読者に喜んでもらえる内容を心がけた上で、こんな単語で検索されたらいいなと思える単語を、タイトルや文章中に入れてゆくという方法です。ひねりはありません。ただ、キーワードばかりが目立ってしまうと、うっとうしい文章になってしまいますし、文章が面白くなくなってしまっては、本末転倒ですから、入れ方が難しい。また、人間だったら類推してそれと分かる主語や対象物でも、検索の順位を決めるAIには判断できないようですので、AIにも分かるように書いておく必要があります。例えば、話の流れで写真について語っているのであれば、「それ」とかの代名詞で「写真」とわかる場合でも、きちんと「写真」と書いておく必要があるようです。特にタイトルは、とても重要ですので、内容をきちんと表現したものにする必要があります。それ以外の要素としては、グーグルのAIに良い記事だと判断されるには、オリジナルの記事が良いとされているようですので、私が実体験をもとに書いている記事が、AIに評価されているのかもしれません。それから、ウェブサイトに記事をアップしてもすぐに検索結果に出てくるわけではありませんし、順位が上がってゆくのもゆっくりです。慌てては、いけません。

ウェブサイトの価値を上げるための今後の課題

 上で紹介したように、文章を検索の上位に表示させることは、不可能ではないとわかりました。今後は、仮想クライアントが検索してくれそうなキーワードをもっと考えて、内容の幅を増やしてゆけば、いいのかなと考えています。
 もうひとつの課題としては、画像検索です。グーグルには画像を検索する機能もあるので、写真家としては、そっちでの検索も上位にしたいと思います。そこで、実際に書いてみた記事が、先日アップした「核融合の研究と研究施設の紹介。写真で伝えることの広報効果とは。」です。実は、画像検索については、ずっと悩んでいて、「写真の紹介」という記事もいくつかアップしてみたんですが、単に写真を紹介するだけでは、読者にとっては面白くないだろうなと気がつきました。そこで、写真を使って記事を作ることを思いつきました。記事としてまとめてしまえば、写真も紹介できるし、読者も楽しんでいただけるんじゃないかと思った訳です。まだ、1本目ですので、効果のほどは、わかりませんが、引き続き、挑戦してみたいと思います。
 また、今、考えているのは、趣味の記事を入れようかどうかということです。現状では、非常に固いイメージとなってしまっていて、写真家っぽいのかもしれませんが、問い合わせをしていただくときのハードルが高くなっているんじゃないかとも思っているのです。趣味の記事を混ぜて親しみやすさを増すか、写真関連記事だけにしてブランディングにこだわるのか。悩みどころです。まあ、やってみてダメだったら削除するだけなんですけどね。

ピンチは、スキルアップのチャンス?

 私は、今まで、クライアントや取材先の仕事内容をお知らせする活動には、力を入れてきましたが、自分自身の広報活動には、あまり一生懸命ではありませんでした。写真集を出せば、それが自然と広報活動になっていて、うまく回っていたからです。リニューアル前のウェブサイトでも文章をいくつかアップしていましたが、それは、写真以外に自分の考え方を知って欲しくて書いていたもので、SEO対策(ネットで検索の上位に表示されるための対策)として捉えたことはありませんでした。サイト自体も更新もせずに放置していたくらいです。ですから、ここしばらくは、新しいウェブサイトで試行錯誤の連続です。ただ、実際にやってみて効果が出ていますし、コツもわかってきましたので、これはこれで楽しくなってきました。スキルがひとつ増えたのかもしれません。お客さまの中には、認知度向上に悩んでいるお客さまもいらっしゃるでしょうから、SEO対策について話せるとなれば、撮影する前のもっと深いところからお付き合いできますから、役に立つスキルです。

最後に

 このコロナ禍が収束した後の世界は、元の世界とは違った世界になっているはずです。従来の方法に固執しているのは、意味がありません。変化する世の中に、どうやって対処すればいいのか。悩みはつきません。
 あっ、そうそう、文章を書いていると、ついつい歯を食いしばっちゃうみたいですから、みなさま、どうぞお気をつけください。

以上、写真家 西澤丞の悪戦苦闘でした!